英語の裏道 —あなたを裏切る訳— #3

Happy Thursday! 英語脳の皆さまGood Morning!
寺ピー 2025.08.28
誰でも
Dentist Called

これ、僕が書いたメモです。間違っているので、今回は皆さんに直してもらいたいのですが、その前にいろいろ背景をお話しておかなければいけません。

イギリスの大学時代、「速記」とまではいきませんが、早口で流れる講義をいかに手際良くメモっていくかというNote Takingの授業を受けたことがあります。これはとても為になりました。eg.(例)、cf.(参考)、ie.(つまり)などのアカデミックな場での正式な略し方から始まり、コロンやセミコロン、矢印の使い方まで、スペルの長い文字を書いてる暇がない時にいかに速く短くメモっていくかという技術を学びました。いまだに僕のノートの取り方はこの授業が基本となっています。

日本語で走り書きをする際、ひらがなやカタカナで済ませることってありますよね。なぜなら漢字だと画数が多くて時間がかかるからです。なかなか前に進まないのです。例えば原稿用紙に「開閉」を書くとします。これ、たった2マスの熟語ですが、書き始めるとしばらくそのマスから出ることができません。ついこの間もメモってる時に、"OpCl"と書いて済ませました。"Open/Close"を略したものです。その都度いろいろ工夫をして短く書こうとしますが、もちろん正解なんてありません。自分のメモは自分さえ読めればいいのですから。皆さんも「電話する」なんて、「Tel」と書き込むことがあるのでは?「電話」という漢字もなかなか画数が多いですもんね。

僕は普段、手書きの手帳とスマホのメモ機能を併用しています。両方の良いとこ取りをしていて、今の時代そういう人も多いのではないでしょうか。英語で書く時もあれば、日本語で書く時も。僕の手帳やメモに残る言語は日英ちゃんぽんです。先に頭に浮かんだ方を書く傾向にありますが、スペースをうまく利用するためにあえて2つの言語を使う時も。

どういうことかと言うと、授業中に「おっ、これすごい!」と発見したことがあります。どんな文章かははっきり覚えていませんが、"for birds"と書く時にノートのスペースの残りがほんの僅かだったんです。そこで"for鳥"と書いてちょうどそのページを終えることができました。これできる日本人ってめちゃくちゃ得だなと思いませんか?それ以来ちゃんぽんノートです。

それでは冒頭の本日のお題に戻ります。

先日歯医者の予約時間を変更する為に電話をした時のことです。To Do Listはスマホを使うことが多いのですが、記録として残す際には手帳を使うことが多いです。その際、

Dentist Called

と手帳に書いてしまいました。これだと主語が先に来る英語では「歯医者が僕に電話をしてきた」ことになります。Oops!

「歯」なんて字数の多いものはDentistとメモった方が断然楽です。「歯」ってめんどくさ、と日本語で考えたのでとっさに「歯医者に電話」という順序で英語を書き始めたんですね。

こういう時皆さんはどうやって修正しますか。ボールペンなんで消すことはできません。

つまり(I called the dentist.の略として)"Called Dentist"と順序を入れ替えることはできません。

どうですか?解決策は出ましたか?

この時僕は

Dentist: Called

に修正しました。そう、間にコロン「:」を入れただけです。真ん中に点を2つ並べるだけで意味がガラリと変わります。To Do Listのように左に項目(予定)を書いて、右にアクション(結果)を書く。コロンのいろいろある使い方の1つです。「歯医者: 電話済み」と言った感じになります。

このようなコロンやセミコロン、コンマの正しい使い方、日本の英語の授業ではしっかり教わらないですよね。論文を書く時なんてとても重要なものなんです。書いてる人の知的レベルが表れ、なかなか奥が深いんです。世の中にはセミコロンを語るだけのニッチな本が存在するほど。特に文学作品やエッセイは、このような句読点が感情や論理を繊細に支えていると言っても過言ではありません。とは言え、正しいルールの下これらを使用して、内容に深みのある文章を書くことは英語ネイティブにとっても難しいこと。日本人だからと言って全員が美しい日本語で文学作品を書けるわけではないのと同じです。

どうでしたか?皆さんの予想を裏切ることができたでしょうか?

ではまた、辞書には載ってない裏道でお会いしましょう。

***

ちなみに、"Dentist: Called"の「:」の後にスペースが1つ空いてることに気づいた人はどれほどいるでしょうか。これが標準的な英語のタイピングスタイルなんです。大学で相当厳しく指導されました。僕がいまだに良書を選んできちんとした英文を学ぼうとしているのは、こういった教育を受けたからです。話すことよりも、読み書きを重視しているとよく言われる日本の英語教育。それならばもう一歩踏み込むべきではないかなと思っています。

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