Passing Phrases —通りすがりの言葉たち— #1
ふと耳にした英語の一言が、心に残ることがあります。Passing Phrases。それは、すれ違う言葉。道で知らない人とすれ違うように、 もう二度と耳にすることのないかもしれない言葉。でもその一言が、温かかったり、考えさせられたり、思わず笑ってしまったり、感心させられたり。そんな、心にひっかかる言葉たちを集めたシリーズです。
夏の終わりのある日、娘(12)が突然
"I have a fan club."
と言いました。
ん?ファンクラブがあるほど学校で人気者なの?
そんな訳ないですよね。
どういうことかと聞くと、よく蚊に刺されるのだそうです。確かに足は蚊に刺された跡がたくさんあって、かなり痒そうです。友達と外出しても自分だけが集中攻撃を受けると。気の毒ですが、そんな人いますよね。
そう。蚊の中でも自分は大の人気者であるに違いないと。よっぽど自分の血が美味しいらしく、蚊たちが自分のファンクラブを作っているのではないかと言うのです。ユニークな表現だと思いませんか。感心しました。とっても英語的な発想でもあります。
日常会話ではこのような表現もあり、よく使われます。
"I’m a mosquito magnet."
キャンプに行っても一人だけ蚊に刺されまくる人のことを指します。まるでmagnet(磁石)のようにmosquito(蚊)を吸い寄せるという表現です。この "~~magnet" という表現はユーモラスで、いろんなところで応用が利きます。a money magnet(お金を引き寄せる人)、a problem magnet(トラブル体質の人)、an animal magnet(動物が寄ってくる人)、a baby magnet(赤ちゃんに好かれる人)などなど。
a problem magnet・・・実はあまり大きな声では言えないのですが、クルーの組み合わせによっては、飛行機でトラブルに遭遇する回数が多くなることがあるんです。「あの人が乗る便、最近、旅客のトラブル続きだよね」とか、「私、最近メンテとか天気でトラブルばっかりなんです」。そういう人は「神社に行ってきた方がいいんじゃない?」とクルーに勧められたり、「お祓いに行ってきます!」と自ら宣言したり。実に不思議なんですが、続く人は続くのです。magnetなんだから、仕方ないのでしょうか。
ネガティブなことをどうやってポジティブに説明するか。 人をいかにクスりとさせるか。 英語には、言葉で遊ぶ文化があるように思えます。
ではまた、すれ違った言葉が、ふと心に引っかかった時に。
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