Women

Happy Thursday!

文化を知らないと本当に言語を習得できません。同じものを見ても感じてることは違う。

There are two sides to every story.

Here are 1 story, 2 sides of the story, and 3 views from me.
寺ピー 2025.02.06
誰でも

1 Story

宿泊先でパイロットやCAのホテルへの送迎にはタクシーやマイクロバスなどが使われます。荷物が多く勤務時間も厳しく管理されているので、団体で移動するのが常です。また各社大量にいるエアラインクルー各々のスケジュールはみんな違うものなのです。一日に複数の便を飛ぶ時は途中でCAの数人が交代したり、パイロットの片方だけが変わったり、さまざまなパターンがありその日によって個々人の動きは違います。

機長と副操縦士だけで1台のタクシーに乗る時、日本には暗黙のルールがあります。機長は後部座席の右側に、副操縦士は左側に座るという。ビジネスマナーでも上座は右の、つまり運転手の真後ろと決まっているようです。知らない新人が右側に座って怒られたりする場面もあります。

この日はパイロット2名だけの移動、タクシー1台でした。ある女性パイロットが右側に座った途端にタクシーの運転手が怒りをあらわにしたそうです。「機長が右側に座るものでしょう!」や「失礼でしょう!」などと何度も口にしたと。この運転手は毎日のようにクルーをホテルまで送迎している男性だったので、ルールを知らないパイロットを見つけたと思い腹立たしく思ったのでしょう。

***

2 Sides

Front Side

後部座席の右側には地位の高い人が座るものだ、なんとけしからん。女性なんかが座る席ではない。最近の若い者は本当に礼儀がなっていない。こういうことは機長の代わりに運転手の自分がはっきりと教えてやらないといけない。

こういう「ならわし」を気にする人は特に年配の方に多いような気がします。若い世代はむしろフランクに振る舞いたいので「そんなこと気にしなくてもいいよ」という人間が昨今は増えてきているように感じます。僕もそうですが、権力をかざして偉そうに振る舞う古い先輩方を見てきたので、悪しき慣習をどこかで止めたいのです。地位が高い低いというよりも、勤務を終えた飛行機の運転手がタクシーに乗っているにすぎないのですから。

この話しを間接的に聞いた時、運転手は右側に座ったのが女性だから余計に腹を立てているように感じました。これが男性だったら注意をしていないのではないでしょうか。そもそも普段から機長と副操縦士の見分けがついているのかも疑問です。

それにしても、客でもあるパイロットに対してよくそんなことを言ったものだなと思いませんか。

Back Side

この女性パイロットは最後まで席を変わりませんでした。どうしてでしょう。皆さんはどうしてだと思われますか?運転手に注意されて彼女はビビッて何もできなかったと思いますか?

では皆さんが驚くことを言いましょう。

この女性は機長だったのです。男性が副操縦士。座っている位置にも問題はありません。実はビビッていたのは男性パイロットの方だったのかもしれません。もしいま僕に驚かされたのであれば、あなたの中にも女性蔑視の考えが潜んでいるのかもしれません。女性は男性より下のはずだと。女性の読者の中にも自然にそう考えてしまった方が多かったのではないでしょうか。きっと男性が機長に違いないと。

この女性が機長であることをもし運転手が知っていたのであれば、あんなことを言うはずはありません。女性=男性に仕える者、と端から決めつけて話しているのです。彼女は非常に不愉快な思いをしたはずです。

帰国したばかりのころ、居酒屋で男性にお酌をしたり、積極的にみんなのためにサラダを取り分ける女性の姿を見て強い違和感を感じたのを覚えています。料理の注文から、座る場所から、すべて男性中心。一緒に食事をする目的でその場に来ているにも関わらず、まるで女中のように振る舞わないといけない。誰もがそれを当然と見ているその空間に僕はいまだに馴染めません。

3 Views (Thought / Idea / Quote)

Thought

世界経済フォーラム(WEF)が2024年6月に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)によると、日本の順位は146か国中118位でした。これは主要7カ国(G7)の中で最も低く、アジアの中では韓国(94位)や中国(106位)よりも低い順位なのです。

参考までにG7の主要メンバー国に限るとドイツは7位、イギリスが14位、アメリカは43位となっています。旅行などの一時的な滞在で見える範囲は狭いでしょうが、海外先進国から赴任してきている諸外国の人たちの目には日本社会は日々どのように映っているのでしょうか。

つい数日前、アメリカ・ロサンゼルスで2025年のグラミー賞の発表がありました。Bruno MarsLady Gagaによる男女デュエット曲の"Die With A Smile"が、Best Pop Duo/Group Performanceを受賞しました。僕が最近ヘビロテで聞いている二人の大スターの歌なので一ファンとして嬉しいです。素人にはとても難易度の高い歌だそうです。

壇上でBruno Marsは

“I’m so honored to have a small part in your giant musical legacy."「(Lady Gagaの)巨大で偉大な音楽作品の中の小さな一部になれてとても光栄です」

とスピーチしました。なんとhumble(謙虚な)な言葉でしょう。

壇上に上がった瞬間、Gagaに先にスピーチをするように促したBrunoが逆に譲られました。 マイクの前で再度譲ったのにも関わらずまたGagaに背中を押されました。仕方なく先に話し始めた彼の言葉の内容がこれです。ジェンダーの存在を感じさせない、真に対等な関係が見えたワンシーン。

これでもGGIが世界で43位の国です。イギリスやドイツはこの国に大きな差をつけてさらに上に位置するのです。

Idea

その女性機長は僕と同じで、普段から特別座る位置にこだわりを持っていません。その日たまたま右側に座っただけ。そんな人に向かって古い価値観を押しつけようとしても受け入れられる訳がありません。多くの女性がそうであるように最後まで何も言わなかった彼女。日本の慎ましい女性像が邪魔をしているのか、論争を嫌っているのか、それとも女性蔑視の社会に飽き飽きしているだけなのか。

日本のエアラインにいる女性パイロットの数も一昔前に比べると増えました。経験を積んで機長になる女性も自然に増えてきました。しかし欧米に比べるとまだまだ少ないのが現状です。女性でも立派なリーダーは世界にはたくさんいます。最近退いたドイツのメルケル首相は16年、イギリスのサッチャー首相は11年間、それぞれ政権についていました。サッチャー後にイギリスで首相になった女性は2人もいます。オーストラリア初の女性首相、ギラードが議会中に熱弁をふるったMisogyny(女性蔑視)Speechは世界の多くの人の心を揺さぶりました。首相という座に限らず、企業の重要なポスト、スポーツチームの監督など、リーダーというポジションは男性にしかできない仕事ではないのは明らかです。

小さいジェンダー・ギャップを実現させている国で教育を受け、二人の娘の父親である僕は普段から女性を蔑視することに嫌悪感があります。口だけでない男女平等の姿勢を次の世代に見せることは重要です。しかしながら社会の意識を変えるのは大変なこと。我々の世代で日本のGGIを他のG7の国々並みの順位にもっていくことは不可能に思えるほど低い位置に日本はいます。それならば余計に次の世代に繋ぐ作業が重要になってきます。一人でいいのでどなたかにこの記事をシェアしていただけたら嬉しいです。読者の皆さんの力で、僕の小さな力を少しだけ大きくしてもらえないでしょうか。日本をよりみんなに優しい国にしたいです。

***

Quote

Some leaders are born women.
Geraldine Ferraro(米国政治家・外交官)

リーダーの中には、女性として生まれてきた者がいる

Until next time.

寺ピー

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