裏Bird(お試し版)
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Behind the Book:
出版までの地獄、「本」の裏 -
Behind the Cockpit:
乗客が見ることのない「コックピット」の裏 -
Behind the Story:
ボツあり、トリックあり「ストーリー作り」の裏 -
Behind My Days:
趣味は活字、「僕の生活」の裏 -
Behind the Newsroom:
読んで必ず得する「英語ニュース」の裏
1. Behind the Book(Part.2)
本を出版するにあたり、出版社とのやり取りで一番大変だった作業は、校正です。その中でも、数字を全て漢数字に統一するという作業。つらかったです。
編集者とミーティングをやるのですが、最初に基本的なことを決めます。まずは作りたい本は、縦書きにするのか、横書きにするのか。なるほどぉ。考えたことなかったです。日本語ってすごいですよね。縦にも横にも、右からも左からも書けるんですから。僕の場合は英語が多いので、もう横書きしかありませんでした。
校正というのは、日本語のプロが、僕が今まで書いたエッセイの中のファクトチェックを含め、表現や漢字、英語のスペル、ブランドの表記など、誤記やおかしな表現がないか全てチェックしていく作業です。その中の一つとして、数字は基本、漢数字で統一するという決まりがありました。でも、これ、ただアラビア数字を全て漢字に変えていくという単純な作業ではありませんでした。
"ひとつ" は "一つ" になるのですが、"一人" は "1人" でもなく、"ひとり" なのです。西暦は "二〇二六年" と書くと非常に読みにくくなります。ですので "2026年" と表記します。では "9/11" のテロ。これは "九・一一" なのか。これだとなんのことかわからないでしょう。"二言三言" や "一時帰国" は漢字なのはわかるのですが、かと言って "全米一" なんて "全米1" ではおかしいのか。"二度目" は?宝くじ"一等"。極めつけは "二段ベッド" です。アラビア数字を用いるのが正しいのか、漢数字が正式なのか。もう発狂しそうでした😱 僕の書く文には非常に数字が多いことにこの時初めて気づいたのです。答えは、僕の本を読んで見つけてみて下さい。(ま、僕の本でなくても他の方の本でも構いませんが)そういう点を気にして本を読むことは普段ないと思います。おもしろい(できればもうしたくない)経験ができました。
つづく
2. Behind the Cockpit
天候が悪ければ悪いほど、飛行機に乗っているお客さんは不安になります。台風や豪雨、乱気流や雪、乗客を不安にさせる要素はたくさんあります。『強風のため着陸をやり直す場合があります』や『強い揺れが予想されます』。もしあなたの飛行機に乗る頻度が1年に一度なら、こんなアナウンスを耳にする機会は少ないかもしれません。理由が何であれこのようなアナウンスに不安にさせられると、無事に目的地に着陸した瞬間、ときどき客室内で拍手がおこることがあります。『ありがとう、無事に着いてくれて』と。パイロットが座っているコックピットまで聞こえることはないのですが、あとからCAから伝えられて知るのです。『みなさん喜ばれてましたよ』とか『「パイロットにお礼を言っておいてください」と言われました』など。苦労して降りたあとにこのようなことを伝え聞くと、嬉しいよりもホッとするものです。怖い目に遭わせやがってと、怒ってるのではないかと心配になるからです。実はお礼を言ってくれる人たちは乗客以外にもいるのです。最近まで知らなかったことなんですが...。
地方の空港へ降りた時です。飛行機の周りに立っている作業員が数人わざわざ走り寄ってきて声をかけてくれたことがありました。『いやぁもう今日は来れないかと思ってました!』『(地方のために)頑張って下さってありがとうございます!』。飛行機に乗ってる人のことしか考えていなかったのですが、空港で働いている人もハラハラ見てくれているんですね。大空港では起きないことです。きっと地方は人の距離が近いのでしょう。地元に根付いているというのか。都会にある大空港にばかり行っていると時々人の温もりを忘れてしまうことがあります。そう言えば、地方のコンビニの店員さんも温かく接してくれる人が多いような気がするなぁ。
3. Behind the Story
2025年12月11日に配信した『Myths』の裏話。一番最後の言葉は
"Which myth do you still believe." でした。気づいた方も多かったと思います。最後に "?" がついてなくない?疑問文なのに最後にクエスチョンマークがない。つけ忘れかな?と思われているでしょうか。実はこれ、余韻を残すためにあえて抜いたんです。締めの言葉はとても大事です。英語でこうやって余韻を作るやり方もあるんです。
4. Behind My Days
一日のうちで読書にあてる時間はそんなに長くありませんが、僕は本を読むことが大好きです。複数の本を同時進行で読みます。例えば15分の間に、洋書を少し読んで、次に日本語の本の続きを読んで、また別の洋書の続きに戻る。我ながら人間の脳ってどうなってるのかなと思うものです。そしてこういうことを3か国語以上でやっている人たちも世界にはたくさんいます。
僕のnote作品から書籍化された本の中の「サングラスが見ている世界」に、コカ・コーラの話が出てきます。マーケティングに興味を持ち、最近、"Positioning"(Al Ries and Jack Trout 共著)を読みました。1982年にアメリカで出版された本ですが、人気があり2001年に最新版が出たそうです。その中にこのような話があります。
Your brand could become a generic term for the product in question. Take Band-Aid as an example: when most people cut their finger, they say “I need a Band-Aid,” not “I need an adhesive bandage.”
あなたのブランドが、その製品自体を指す一般名詞になってしまう可能性がある。バンドエイドを例にとると、多くの人は指を切ったときに『絆創膏がほしい』ではなく、『バンドエイドがほしい』と言う。
みなさんも絆創膏の代わりにバンドエイドと言うことがあると思います。商標名がその製品そのものになったというマーケティングの話です。小さい頃「plaster(プラスター)」という言葉が日本で通じなかったことを思い出しました。アメリカ英語では「バンドエイド」と言いますが、イギリス英語では「プラスター」で通じるんです。文化の違いを知ることは、英語の勉強でもあるのです。
5. Behind the Newsroom
10日ほど前、気になったニュースがありました。2026年1月10日の the Economist の記事です。
“War is back in vogue,” lamented Pope Leo XIV in his debut “state of the world” address to his diplomatic envoys. He expressed fear that “zeal for war” was spreading and condemned the weakening of “multilateralism”. The American-born pontiff spoke in his native English, perhaps to ensure the Trump administration understood.
『戦争が再び流行している』と、ローマ教皇レオ14世は外交団に向けた初めての「世界情勢演説」で嘆いた。 彼は「戦争への熱狂」が広がっていることへの懸念を示し、「多国間主義」が弱まっていることを非難した。 アメリカ生まれの教皇は、トランプ政権に確実に伝わるように、あえて母語の英語で語ったのかもしれない。
"War is back in vogue. "
VOGUEというファッション雑誌があるように、“in vogue” は「流行している」という意味です。読んだ瞬間、なんと堅苦しくて古い表現だろうと思いました。こんな話し方する人いるのかと。ローマ教皇ってこういう風に話さないといけないの?
どうやら強い皮肉をこめてこの表現を選んだようです。立場的にイタリア語やスペイン語で話すことが多いローマ教皇。今回はわざわざ英語を選びました。教皇自身、アメリカ出身で英語が母国語です。トランプ政権に向けた言葉だったんですね。母国語で母国の政権に、はっきりと強いメッセージを伝えたのだと思われます。あえてこういう話し方をすることによって、皮肉を表現できる。英語、おもしろいでしょ?
今週は裏の世界に来てくれてありがとう。
Thanks for crossing over.
寺ピー
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