Spotter
Are you a great spotter?
空港のターミナルを歩いている時、久しぶりに昔馴染みの女性の客室乗務員(CA)を見かけました。僕らが飛行機に乗るのは乗務とは限りません。移動の場合も頻繁にあります。Crew TransferとかDead Headingというもの。自分の基地(住んでいる所)から、自分の担当する便が出発する空港へ客席に乗って移動したり、仕事を終えた空港から自分の基地へ客席で移動したり。その時のスケジュールにもよりますが、制服でなく私服で移動する場合もあります。特に仕事を終えて客席に乗る時には私服に着替えたいものです。制服を着て座っていると周りからジロジロ見られ、落ち着かず休まらないのです。
この日は私服の彼女が目に入りました。制服を着ていなくても髪型や服装ですぐに目につきました。多くのエアラインでは派手な色を避けたconservativeな清潔感のある服装をするように決まっている上、黒色などの目立たないスーツケースを引っ張っているので同業者にはすぐspotできます。脳ってすごいですよね。広いターミナルの中で、探してるわけでもないのに突然遠くにいる彼女がふと目に入ってくるのですから。声をかけようと思っている間に、横顔が後ろ姿となり、彼女はトイレへ向かいそのまま入ってしまいました。トイレの前で待ち伏せするのも気が引け、その場を離れることにしました。あとで搭乗前にゲートで会うだろうと思ったのです。この時間だと同じ便に乗って同じ基地に帰るのだなと予想して。
以前、電車の中で英語を話せる日本人を見つけ出したことがあります。混んでいる電車の中である女性に目がいきました。その人は席に座って隣の友達であろう人と話しをしていたのですが、彼女のジェスチャーが目を引いたのです。離れた所に座っている上、騒がしい電車のなか会話は聞こえませんが、なんか英語(あるいはスペイン語など西洋の言葉)を話せそうだなと思ったんです。うまく説明ができないのですが、話している姿とジェスチャーからそう感じ取ったんです。じっとその人を見つめていたわけではありません。その後音楽を聴いていたか本を読んでいたかは忘れましたが、「・・・私がカナダにいた時ね・・・」という日本語の声が耳に入ってきました。ふと顔をあげるとさっきの女性が話しをしながら多くの人の波に押されて電車から降りていくところでした。お、やっぱり。
The Red Car Theoryというものを聞いたことがありますか?面白いですよ。
「今日赤色の車を何台見ましたか?」と聞かれたら、きっと皆さんは「さぁ。見たかもしれないけど、何台かなんて」と返答に困ると思います。気にして特定の色を見ていませんもんね、それが普通です。でももし赤色の車を見る度に1万円プレゼントなんて企画があったら何台見つけることができるでしょうか。きっとたくさん目にとまるはず。
一度あるものに意識がいくと脳が勝手にフィルターを作って関連するものを探し始めるんです。顔認識システムのもっと高度なものとでも言うのか。僕の脳にもあなたの脳にも備わっている、Selective Attentionと呼ばれる能力だそうです。騒がしいレストランで自分の名前だけ聞こえたりするのもそれ。普段気になっていたものがたまたま街で見つかるのもそう。勝手に聞いててくれたり見つけてくれたりする。自分は意識せずとも、目から入る情報を脳の中でフィルターを使って処理してくれているそうです。
そのフィルターを通している世界に映りこんでくるのは人間や物に限りません。いろんなチャンスもそうです。「たまたま見えて運が良かった」という表現がありますが、あれは普段意識している、していないで差が出ているのではないかなと思っています。目の前にあるのに、意識していないがゆえに見落としているチャンスなんてたくさんあるのではないでしょうか。チャンスをつかむのは自分次第。自分の思い次第。すると自分の考えが自分の経験を作っているとも言えますよね。生まれた時に無償でついてきたこの脳のシステム、うまく使いこなすと人生が変わってくると思いませんか。
ちなみにそのCA、僕がそのあと向かったゲートにはいませんでした。もう1本後のフライトだったのかな?同じ時間に空港にいたからてっきり一緒に基地に帰るものと思っていました。残念、久しぶりに話したかったなぁ。次に会うのはいつのことやら。お互いバラバラのスケジュール。半年や1年会わない人なんて珍しくありません。面白い世界でしょ?
今朝の通勤・通学途中のあなたには何がspotできているでしょう。知り合い?最近ねらってるもの?はたまた新しいチャンス?
There are opportunities all around you.「世の中はチャンスだらけ」
Hope you have a great day.
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