Remember

Happy Thursday! 漫画も読みます。日本人としては読むべき作品に出会いました。みんなで後世に残しませんか?
寺ピー 2026.03.05
誰でも

小学校6年生の娘に、こんなに良い本を薦められるとは思っていませんでした。

『ペリリュー — 楽園のゲルニカ』

という全11巻の漫画です。

学校の図書館で見つけて読んだという娘が、一緒に書店に行った時に教えてくれました。“日本人全員が見るべき衝撃の作品”“真実の記録”などと話題になっていたそうですが、僕がこの作品を知ったのは、娘に『全巻欲しい』と頼まれたこの時が初めてでした。映画にもなり、昨年の冬には映画館で上映されていたようです。

昭和19年の太平洋戦争末期、南太平洋のパラオ共和国に属するペリリュー島が舞台。極限状況の中で「何が正しいのか」に苦悩する、漫画家志望の日本兵が主人公です。戦場で生き残ろうとする若者たちの姿が、真実の記録に基づいて描かれています。

娘は
『こういう本を面白いと言ってはいけないけど、すごく良かった。良かったと言ってはいけないけど、勉強になる。というか、知れて良かったということがたくさんある』
と言っていました。

まさにその通りだと思います。「漫画か」と軽い気持ちで手に取った僕も、これまで聞いたことも想像したこともなかった事実の描写に、あっという間に惹き込まれてしまいました。いま半分ほど読み終えたところですが、知っておかないといけない本当の戦争の怖さがたくさん描かれています。戦争に駆り出された若者たちも、私たちと何ら変わらない考えを持ち、同じような日常を送っていたことがよくわかります。

この作品の特徴は何と言っても、登場人物がみな2頭身で描かれているという点です。悲惨な戦争を描いた漫画のキャラクターを“可愛い”と言うと語弊がありますが、あえて親近感を覚えるような姿にすることで、読者が戦争を身近に感じられるよう工夫されているのでしょう。著者の武田一義さんは『読みやすさ優先で泣く泣くリアルさを捨てた』と語っています。グロテスクな場面も多く、どうしても重くなりがちな戦争の描写ですが、広く読まれるためには『どうしても面白くしないといけない』という葛藤もあったようです。

戦争は過去の話ではありません。いまも世界のどこかで続いています。ちょうど先週、その現実をふと身近に感じる瞬間がありました。外国人のパイロットの友人から、中東のあるエアラインに採用されたという嬉しい連絡が届いたのです。

みなさんは中東の航空会社にはどういうイメージをお持ちでしょうか。実は、パイロットやCAにとってはとても魅力的な職場なのです。

例えば、カタール・エミレーツ・エティハド航空。これらの三大巨頭は、国が本気で育てた世界最高峰のハブ航空会社です。旅客には豪華なサービス、働き手には圧倒的な待遇と、多国籍でプロフェッショナルな職場文化を提供しています。カタールの首都・ドーハは治安が世界トップクラスで家族帯同もしやすく、宗教や文化の違いがあっても生活上の障壁は小さく、安心して働ける都市として知られています。

ところが先週末、その近隣のイランに対して、アメリカのトランプ政権とイスラエルが攻撃を開始しました。少し離れたドーハのハマド国際空港は依然として閉鎖されたままです。友人はちょうど中東での訓練の真っ最中。いまのところ危険な目に遭うこともなく、普段どおり生活できていると聞いてひとまず安心していますが、決して他人事ではありません。

以前、SNSで流れてきた動画を思い出しました。1969年のベトナム戦争の最中に撮られたインタビューが、カラー映像とクリアな音声で蘇ったものです。リポーターが一人の若い兵士に『50年後のアメリカへどんなメッセージを送りたいですか?』とたずねます。
これがそのメッセージです。

Don’t send your sons to finish what politicians start. 
政治家が始めた戦争に自分の息子たちを送るな。

毎日、極限の戦場でどれほどの思いをしていたのか想像もつきません。これが現場にいた若者の生の声です。あれから57年経過しましたが、何も変わっていません。人間は同じ過ちを繰り返してしまうのだと痛感します。

われわれ戦後世代にできることは、後世にまともな考えを持つ人間を一人でも多く育てていくことだと思います。教育の大切さは、いまのアメリカの政権を見て、世界中の人々があらためて思い知らされているはずです。

小学校2年生の妹も、数年したらこの本に興味をもってくれるはずです。姉が、次の世代へ伝える役目を担っています。

May we remember, so they don’t repeat.

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