Ideas for Life
土曜日や日曜日に運動会のような行事が学校であると、月曜日が代休になります。皆さんも子供の頃に経験があると思いますが、平日に休めるなんてなんか嬉しい気持ちになりますよね。
ある月曜日のお昼過ぎ、がらんとした公園で小学生の女の子3人がこちらの方向へ向かって歩いてくるのが見えました。見たところ背丈はうちの娘(11)と同じくらい。小学5年生か、6年生に見えました。ここはNew YorkのCentral Parkにちなんで、僕が勝手に「セントラルパーク」と呼んでいる近所にある大きな公園です。名前が「○○中央公園」なので、あながち嘘でもありません(笑)。普段から運動をしていないと身体検査に引っかかるリスクがあるので、脂肪を燃焼させたり、心肺機能を高める為に、僕はこの公園で日常的にウォーキングをしています。
公園の広さゆえに、北や南、いくつもの学区から子どもたちが集まってきます。その日は、各地で運動会が行われる時期だったことから、代休であることが推測できました。まだその3人組と距離はあったのですが、おや?英語が聞こえる。しかしすれ違いざまに話していた言葉は日本語でした。たしか英語が聞こえたと思ったんだけど・・・気のせいか・・・。
しかしその後公園を一周して戻ってくると、先程の女の子達が少し離れた所でキャッキャッと英語で叫びながら遊んでいるのが見えました。やはり僕の耳は正しかった。北米のアクセントでした。転勤してくる家族が多い地域なので、ほぼ間違いなく帰国子女でしょう。平日の昼間、がらんとした広い公園内で遊んでいるのはこの子達だけ。自然に話したい言葉で自由を満喫しているように見えて、微笑ましく思いました。
英語の話せる友達同士で英語を話し、人が通り過ぎる時は日本語にスイッチ。誰も周りにいなくなると英語に戻す。わかります。ジロジロ見られたくないのです。「英語喋ってよー」なんてきっとクラス内で何度も言われてきたことでしょう。そんな時何を話して良いのかわかりません。They must be sick and tired of it. もううんざりしていることでしょう。
近くへ行って話しかけようと思い一瞬立ち止まったのですが、やはりやめました。娘が英語を話せる友達がほしいと言っていたのでどこの小学校の生徒か聞こうと思ったのですが、そっとしておくことにしました。公園で知らないおじさんに話しかけられるなんて嫌でしょう。
娘の通っている公立の小学校にも帰国子女が何人かいます。近所に住んでいるカリフォルニア帰りの女の子はスケボーに乗って家に遊びに来るんです。絵に描いたようなアメリカンですよね。時々英語を交えながら話すこの友達を、ふたりとも大切に思い合って、いつまでも仲良くしていてほしいなと思います。"Birds of a feather flock together."(類は友を呼ぶ)、公園の3人組もそうですがお互いにとって貴重な存在なのです。
幼少期をアメリカで過ごした日本人の女性がSNSで、子供の頃嫌だった質問にやはり「英語喋って」をあげていました。何を話していいのかわからず本当に嫌だったそうですが、ある時こんな手を使ったそうです。え?そんなことでいいの?というもの。面白おかしく話していたのですが、なかなかこれは名案だと思いますよ。
かつてPanasonicが使っていたスローガン、皆さんもテレビCMで見て記憶にあることと思います。あの"Panasonic Ideas for life"です。これをクラスで言うと「わぁ凄い!発音きれい!」と大騒ぎになったそうです。おかしくて爆笑してしまいました。子供はどうやら会話文や長い文章には興味がないようです。もう一つのオプションとして、"HITACHI Inspire the next"もあるそうですが、いずれにせよ笑いが止まりません。
この方、学校の英語のテストで100点を取れないと「英語喋れるのに満点取れないんだぁ」とバカにされたそうです。その気持ち、よくわかります。日本では先生が教えた通りに英語を書かないとX(不正解)にされてしまう。意味が合っていても、別の表現は受け入れられないのです。もはや「正しいかどうか」よりも、「教室で習った通りに書けているか」が評価のポイントとなってしまいます。先生も聞いたことのない表現では採点ができないから、そうするしかないのでしょう。でも、こうなると何をテストしているのか、わからなくなってしまいますよね。
それにしても、これに対する言い返しも見事でした。「え?じゃぁ国語でいつも満点とれてるの?日本語でしょ?社会とか理科も日本語でしょ?なんで取れないの?」 多くの帰国子女にとって、特に小中学校にいる間は毎日がバトルなのです。戦っている相手は、意地悪な子なのか、それとも嫉妬という目に見えない感情なのか。
もし悩める帰国子女が周りにいたら教えてあげて下さい。是非これを使って生き抜いてもらいたいものです。これこそIdeas for life(生活に必要な知恵)だと思いませんか?つまらない奴から人気者になる、upgradeのチャンスでもあります。笑いで返せるくらいが良いですよね。言い争いに発展しないように、平和的に解決しようとする知恵。それがIdeas for lifeです。その能力はきっと大人になってからも使える、一生ものになることでしょう。
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